2013 S/S 東京コレクション
ATSUSHI NAKASHIMA 2013 S/S
「Crossed culture」
テーマは「Crossed culture」。和と洋の融合を試みた今回のコレクションは、前回の未来的な要素を残しつつも、一味違う印象だ。「海外に行き、その中で日本の良さに気付いた。日本には素晴らしい文化があるのに、それを使わないのはもったいない。」と語ったATSUHI NAKASHIMAのデザイナー、中島氏。ショーは日本の伝統色である赤と紫を用いたドレスでスタートした。
直線的でクラシカルなジャケットは、肩の部分を外側に突き出すことにより着物の要素を落とし込んだ独特なデザインとなっている。スカートも、ドレープを効かせた洋服らしいラインを演出しているが、このラインは着物のように四角くカットした生地が下に落ちて自然に生まれるものなのだそう。こうした日本の伝統文化からのインスピレーションに加え、中島氏は現代にも目を向けた。まるで魚の鱗のような艶やかなグラデーションや、細い糸でできたデリケートで柔らかい生地は、現代の日本が持つ高い技術を用いている。
人類が築き上げた成果の総体である「文化」。それを「交流」させることによって生まれる新たな発見は予測不可能で面白い。アジア進出にも意欲を見せている中島氏だが、更なる異文化の地で、次はどんな作品を生み出すのだろうか。今後も目が離せない。また、今回中島氏はDHLメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京で、第三回「DHL デザインアワード」を受賞した。
Photographer / Ohno
text / Makiko