Fashion, Collection, Tokyo 2019-20 A/W

THE Dallas 19A/W collection

『EMO』 感情の解放へ

自分の感情
あたり前の事があたり前の様に動く日常を
それが自分なのかと問いただす
時には狂喜することもあれば、
森の中に一人で木々の匂いを吸い込む。
”EMO”から始まる感情の揺れ動く様


「THE Dallas」の2019年A/W collectionが3月18日、青山の西洋館、「ロアブラッシュ」にて行われた。暗い森の中に迷い込んだような錯覚を我々に与える不思議な場所だ。

2回目となる今回のランウェイショーは、感情の解放をコンセプトとし、大胆に花柄やレオパード、ファーを使ったルックが印象的であった。SNSが進化する現代、ネット上でならどんな自分にも簡単になれる時代、仮想現実での交友関係や発言の機会が増加する分、現実では自分の感情を押し殺し殻に閉じこもる人が増えていると田中氏は言う。今回のショーはそのような人々に向けたメッセージなのだと。

80年代の花柄がレオパードや都会的なアイテムと組み合わされることで21世紀へとアップデートされた。レトロながらも新しさを感じる。柔らかなシフォンスカートとレザー、遊び心あるデザインにパープル、グリーンなどの大胆な色が用いられ、意表をつくようなカラーと相反する素材が組み合わされた。自分の感情を解放しそれを表現する。ファッションの本質を通して我々は自分の生き方でさえ今一度考えさせられるのである



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また今回、ブランド初となるパフュームが発表された。柔らかく差し込む木漏れ日をイメージさせる穏やかな香りに、どこか真のある強さを感じる。暗い森で迷い、どこに向かえばいいのかわからなくなった時、道しるべとなるよう願いを込めた香りだと田中氏は話していた。

インターネットやSNSが発達し、現実と仮想現実の狭間で自分らしさを見失い、周りに流されていく、そんな自分が嫌になる時もあるかもしれない。そんな時、この香りと今回のルックに込められた田中氏の想いが我々を導いてくれるだろう。

Text/西田さおり

Photo/光菅悠妃