ビンテージに秘めた情熱と平常心と。
3月22日、Children of the discordance の2019A/Wコレクションが発表された。
原宿にあるビルのテラスが会場で、春らしい爽やかな空気が漂っていた。
しばらくすると、強烈なヒップホップのイントロが流れ、ショーが始まった。
次々と現れるモデルたち。 このブランドの特徴でもあるビンテージ素材を使ったコレクションが今回も多く見られた。パッチワークのバンダナシリーズや、トレンチコート、刺繍を取り入れたアイテムなどインパクトの強いルックが目立った。
デザイナーの志鎌英明氏は「解体・再構築をメインに服を作ると手間はかかるがパワフルな服を作ることができる。パッチワークを取り入れた服などは1日一着しか作れない。しかしそれだけでは自分の作りたい服を作りきれない。工場で作るものがリメイクに対してどこまで近づけることができるか。そのために新品にも刺繍やビンテージ素材を取り入れている。」と語る。また、今回は初めて着物をコレクションに取り入れたという。着物をバラし、肩に当て込み、さらに刺繍を施した。
他にもミリタリーチックなデザインのものが現れるなど今までとは少し違った、実験的な試みが多く見られ、デザイナーの服を楽しむという思いが感じられた。
「基本的に、物を作る際のテーマは設けていない。マイペースで人に影響されず直感を信じ、着たい服を作った。服に対するリスペクト、情熱を常に保ちながらも平常心。自分の『普通』を今回は表現した。」と語る。
私たちは服やおしゃれを楽しむ気持ちは常に持っているだろう。しかし服そのものへの感謝、そこに目が向いているだろうか。今回のこのコレクションの力強さは、デザイナーのそんな感謝の気持ちが全面に現れているからこそのものだった。もっと服に感謝しよう、そう思えるショーだった。
text / 眞渕来夢
photo / 中村宜嗣