Fashion, Collection, Tokyo 2019-20 A/W

SHUSHU/TONG 19A/W Collection


少女のアンビバレンスな愛

3月19日、渋谷ヒカリエにてSHUHU/TONG(シュシュ/トング)の2019年秋冬コレクションが発表された。
デザイナー、ライ リュウジュ(Liushu Lei)とショウ ウトウ(Yutong Jiang)の男女ユニットでなるレディースブランド。
上海を拠点に急成長中の、新進気鋭ブランドの東京コレクション初参加に注目が集まった。

「愛と憎悪」をテーマにしたコレクション。
インスピレーション源は映画「バッド・シード」と、80年~90年代に特異な個性を光らせ一世を風靡した歌手・戸川純の「好き好き大好き」という曲。
上海では2018年9月に行われた音楽フェス「Concrete & Grass Music Festival 2018」にて戸川が「好き好き大好き」を披露し会場が熱狂と興奮に包まれる光景が記録されている。
この曲の歌詞のワンフレーズ「愛してるって言わなきゃ殺す」もテーマのひとつ。ショーのフィナーレの音楽も「好き好き大好き」が使用された。

純白や水色のワンピースのほかリボン、フリルといったブランドの得意とする甘い部分で「愛」を表現。
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「憎悪」の部分はローエッジなドレスの裾の仕上げ具合や、ハンドペインティングのようなギンガムチェックなど、”荒い”部分で表現。
また「撃たれた女の子」をイメージし、愛憎を含んだ赤づかいが目立つ。
パールのアクセサリーにも血がついたようなペイントが施されている。
モデルたちもガーリーなアイテムを纏う一方で表情は堅く、どこか怒りの感情を感じ取れる。
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”愛している”のに”殺す”、という少女の不安定で捻くれた愛情を表現したSHUSHU/TONG。
一見無垢で可愛らしいが、どこか危うい予感のする、腹黒さを隠し持つ少女の像が私たちを魅了する。
あくまで過度にならないフェミニンなディティールの中に隠れた強烈なメッセージが込められた。

『日本の「かわいい文化」は中国でも浸透し、周りにもたくさん影響を受けている人がいる。』と話したデザイナーのショウ ウトウ。
急速に成長する中国のファッションシーン。「かわいい文化」の進出はもちろん、日本の音楽文化も影響を与え新しい可愛さが日本にやってきた。
今後も目が離せない注目ブランドだ。
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Text/櫻田美羽
Photo/ official・杉本和花奈・櫻田美羽