Fashion, Student

FDL(立教大学服飾デザイン研究会)「unreal」

 12月3日、南青山のスタジオで立教大学服飾デザイン研究会(以下FDL)のファッションショーが行われた。FDLは1958年に設立し(実は日本で2番目に古い服飾サークル)、現在は76人の部員を抱えている。年2回行われるショーに向けてデザイナー、広報、演出、会場経営の役割ごとに活動している。今回は「目の前に広がる世界は現実か、意識の中に彷徨う世界は非現実か。乱れていく境界線。2つの世界が混在した誰も知らない“私だけの現実”」をコンセプトに掲げ、22人のデザイナーたちがそれぞれの『unreal』を服に託した。

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 ファッションショーというとそこには必ず顧客が想定されていて、そのシーズンにウケるような流行を読み取りながら服作りがなされる。また当然のことながら、一人ないしは数名のデザイナーが共通のイメージを持って複数の作品を作り上げるため、コレクション発表を通して「何を言いたかったのか」が明白だ。それとは別に、FDLのショーでは自らの精神性だけを材料にした思い思いの作品を目にすることができ、とても刺激的であった。色彩のトーン、使用する素材、メイク、すべての質感において一貫性のないまさに「私だけの現実」、個人の世界観がはっきりと表れていた。
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 一般大学の服飾サークルといえば服飾を専門的に学んでいる学生たちと比べられがちだ。私自身、専門学校のファッションショーや卒業制作発表会などに度々訪れるのだが、彼らの作る作品は非常に洗練されていて素人からすれば売り物のように見えるのだ。綿密につくられた細部にまで目をやれば、一から学んできた学生たちのプライドさえも見てとれる。他方今回のショーでは、型紙は使わずなんとなくモデルに合わせて作ったというデザイナーも何人かいたようだ。しかしながら、だからと言って見劣りがしたかと言われればそうではなかった。ごまかしがきかないだけにどこか生々しく、作り手の気配をすぐそこに感じられ想像を掻き立てられた。完成度云々ということではないものづくりの面白さやリアルを感じたい人はぜひ彼らのショーに足を運んでみてはいかがだろうか。(次回のショーは来年7月を予定)
text/須藤志央里
photo/佐藤楓
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