2017年10月17日、TOGA 20th ANNIVERSARYショーが行われた。会場は夜の国立新美術館。東京では12年ぶりの凱旋ショーということもあり、著名人から学生など多岐にわたり、館内はショーに胸を膨らませる多くの人々であふれかえっていた。
ショーが始まり、エスカレーターの流れに身を任せたモデルが、1体1体上から降りてくる。その様子は少し近未来的とも言えただろう。コレクション自体はロンドンで先に発表された2018ssと同様のコレクション。たとえ服自体は同じであろうと、東京で行うこの凱旋ショーは、TOGAにとっても我々にとっても特別なのだ。
近年、海外でも名を馳せるような有力なブランドは東京でショーを行わない。勢いのある若いブランドも、パリやニューヨークでの発表を目標とする。その結果として、最近の東京ファッションウィークは盛り上がりに欠けていた。しかし、今回AT TOKYOによる「TOGA」、「sacai/UNDERCOVER(合同ショー)」という世界に知られる日本を代表するブランドによる凱旋ショーは、非常に大きな盛り上がりを見せた。日本のファッションにはこんなにも人を沸かせる力があるのかと、改めて気づいた人も多いはず。けれどもそれを忘れさせてしまっていた、というのも日本のファッション業界の現状なのだ。「日本のファッション文化って素晴らしいのにもったいない。」そのようなふうに思われたくないし、思いたくもない。そういった気持ちは、日本のファッションを愛する人には皆共通だ。
今回の東京コレクションは、その他にも「TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.」や、「BlackEyePatch」などの注目ブランドの参加や、一般客や学生の招待もブランドごとに多く見られ、近年の東京ファッションウィークの中で最も盛り上がりを感じることができた。その立役者は、やはり「TOGA」と「sacai/UNDERCOVER(合同ショー)」の凱旋ショーを行った3ブランドではないだろうか。
今回TOGAの発表テーマの1つであった、「1997年から2017年までTOGAのコレクションを楽しんでいただいたすべての方へ感謝の気持ちを込めて」。ショーのラストにデザイナー古田泰子氏が我々観客の前に現れた時、胸が感動でいっぱいになった。日本のブランドが世界で認められ、愛されていること。またそのブランドが20thという記念すべき年に、日本へ帰ってきて、たくさんのファンに素晴らしいものを見せてくれたこと。そして日本でのコレクションショーという我々が最も望む形で、古田氏からの感謝の気持ちを受け取れたこと。そしてその気持ちは深い感動に変わって私たちに届いた。エスカレーターで手を振りながら去っていく古田氏はたまらなく格好よかった。
TEXT/濱崎 真実
PHOTO/田近 咲菜