YUKI TORIIの2017A/Wコレクションが恵比寿ガーデンホールにて開催された。個性的なファッションに身を包んだ若者たちでいっぱいのヒカリエとは異なり、客層は落ち着いており、淑女、紳士たちがショーを楽しみにしているようだった。
ランウェイにはパリのカフェを彷彿とさせる素敵な景色が描かれており、ショーが始まるとここが恵比寿であることを忘れてしまうような感覚に陥った。スカーフに身を包んだり、柔らかなファーが揺れる様子に目を奪われる。個人的にYUKI TORIIのコレクションは、優雅で上品なマダムが似合うものだという固定観念があったのだが、今回のショーでそれが一転した。ショーの終盤では花柄のガーリーなドレスが登場したり、ターゲット層が実は広いのでは、という印象を受けたのだ。若者はいま、ファストファッションに夢中で、ワンシーズン着たらボロボロになってしまうような質の低い服をひっきりなしに買い替えながら生きている傾向にあると言えるであろう。しかし、上質でエレガントなYUKI TORIIの服を、すこし背伸びしてでも手に入れることができたら、質がいいものをずっと大切にするという本来の日本人らしい考えにまたたどり着くのではないだろうか。私はそっちの方がずっと素敵だと思う。
今回のショーから、ベテランデザイナーが若者に発信しているメッセージを受け取った気がした。だからこそ若者が注目を集める東京ファッションウィークにあえて、ショーを行っているのではないだろうか。私たち若者はそれを受け取らなければならない。背伸び上等だ。