Fashion, Interview, Visual Work, Others

YOSHIMI SAITO 彼女がペイントアーティストになるまで。

自分のやりたいことをやったもん勝ちだって思って、親の反対を押し切ってバンタンに進学しました。

YOSHIMI SAITO、職業ペイントアーティスト。ヘアメイクの仕事を行いながら、絵に、時には服に、言葉では表せない複雑な気持ちをペイントで表現する。彼女が突然ペインティングを始め、現在に至るまで、私たちはお話を伺わせてもらった。


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きっかけは高校の文化祭イベントで友人にメイクをしたことでした。その時に「自分センスあるな」って。それがちょうど進路をどうしようかなって思っていた時期と重なって、せっかくだから自分のやりたいことをやったもん勝ちだって思って、親の反対を押し切ってバンタンに進学しました。

一年目はとにかく練習。そんな中、学校のコンペティションで最終選考まで残りました。けれど最後には正解を求めたヘアメイクしかできなくて、自分の表現力を極限まで発揮することはできなかったんですね。それが自分を変えたいと思うきっかけになりました。

次の年には学校のプログラムでパリに。そこでヘアメイクを仕事としてやるのではなくて、ヘアメイクを通して自分を表現するということを初めて経験しました。とても満たされた感覚、快感を覚えて、何かがつかめたような気がしました。この頃にはすでに、ヘアメイクでは収まりきらない表現があったのかもしれないと感じています。

そんな時、ジャクソンポロックの映画を授業で見ました。キャンバスに絵の具を投げつける彼の表現方法は、時折熱くなる、情熱的になる自分にもしかしたら合っているんじゃないかって。もやもやしていてぶつけたいけど、人にはぶつけちゃいけない感情ってあるじゃないですか。それを絵にぶつけてみようと。それで描いた絵をSNSでつぶやくのと同じ感覚で、Facebookにアップしたんですね。それをアートの先生がとても褒めてくれて。特別続けていこうなんて思ってなかったんですけど、先生の後押しで続けることにしました。
絵から入ったペインティングなんですが、もともとヘアメイクをずっと続けてきたので、徐々にヘアメイク作品にもペイントを取り入れていきました。学校の卒業制作でも、5人のモデルにそれぞれの人柄や思いを反映させたペイントを施して作品を提出しましたね。


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卒業後はヘアメイクや作品制作を続けながらも、これからどうしようかなという時期が続きました。そんな中、「アーティストの衣装をペイントしてくれないか」という話をもらって。テレビ出演の際やライブの衣装のペイントを8か月手掛けさせて頂き、その中の全国ツアーの衣装はそれぞれ異なるペイントを施して100枚近くをペイントしましたね。スタイリストから視覚的ではないぼやっとしたイメージを投げられて、ゼロから形にします。求められたものを形にするヘアメイク、自分を表現するペインティングとは違った、自分の表現だけど自分の表現じゃない、誰かのイメージに合わせていくという経験を初めてしました。1人で部屋に籠って短期間で衣装を仕上げなければいけなくって、自分の粘り強さに気づかせてくれた経験でもありました。
最初はやっぱり自分の表現と相手に求められているものとの間で葛藤があって。自分のアイデンティティが掴みきれていなかったんだと思います。でも徐々に自分がどういうものか分かってきて、自分なりの提案が出来るようになりましたね。


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去年の年末からは自分がディレクターと務めるAMM0N1T YUGENE+(アンモナイトユジーヌ)というチームを作って新しいことにも挑戦しています。そこではヘアメイクの作品にグラフィックを重ねたり、ペイントのネイルシールやタトゥーシールなどを制作して販売したりと。自分ひとりでは逃げたくなるようなことも、自分がしたいことを支えてくれて、チームのおかげで自分を追い込むことができています。みんながいるからこそ、自分は前を見て、走り続けていきたいですね。

何事にもビビっときたものには飛びついてきて今の自分があって。ときに不安になるのでチームや色々な人に後押しされながらやれてきてはいるんですけど、これと決めたらとことん突っ走るというところには自信がありますね。投げたしたくないから色んなことをずっとやってこられています。まだまだ模索中で満足はしてないです。
前例がないからこそ求められたことには応えたくて、その中で相手に合わせながら自分というものを出していければいいなって。ノーと言わないことだけは意識しています。
これからはひとりのアーティストとして、もっと作品にメッセージ性をもたせて世に発信していきたいと思っています。ただ、運と出会いと勢いとでやってきた自分なので、これから先も次々と新しいことに挑戦しているかもしれません。


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YOSHIMI SAITO
2015年にバンタンデザイン研究所ヘアメイク学部を卒業し、現在はペイントアーティスト、ヘアメイクアーティストとして活動中。昨年からはAMM0N1T YUGENE+(アンモナイトユジーヌ)というチームを結成し、そこではディレクションも務めている。

HP
http://mmmco8.wix.com/yoshimi-saito

INSTAGRAM
https://www.instagram.com/yoshimiman/


AMM0N1T YUGENE+
http://mmmco8.wix.com/amm0n1t-yugene

text/佐藤茜