Fashion, Collection, Tokyo 2016 S/S

tenbo 2016 s/s collection

tenbo 2016 s/s collection




10月13日、六本木にあるメルセデスベンツ コネクションにて、tenbo(テンボ)のコレクションが発表された。デザイナーはユニバーサルブランドhaha(ハハ)出身の鶴田能史。
tenboは2015年に出来たばかりのブランドであり、今回の東京コレクションは2回目の参加である。
会場に入るとアコーディオンの音色が響き渡る。演奏するのは全盲のアコーディオン奏者の新居草太。しばらくすると、広い壁に小さな少年と太った男の影が映っていることに私たちは気づく。リトルボーイとファットマンだ。シンガーソングライターのカラトユカリ、手話ナビゲーターの山口まち子の奏でるメロディーと共にショーは始まった。

1945年、舞台は日本。少年が黄色いケーキを食べながら歩いている。続いて太った男性も歩いてくる。少年とはリトルボーイ、広島に投下された原子爆弾の名前。黄色いケーキはウランの原子力用語、広島に投下された原子爆弾の原料となったのがウランである。太った男性とはファットマン、長崎に投下された原子爆弾の名前。2人はこの悲劇が今の平和につながっていることを教えてくれる。
そして時代は戦争が昇華された現代へ。「輝き」、「希望」のイメージがある星を取り入れた迷彩柄プリントや、戦時中に出征兵に向けて1000人の女性が赤糸で生地に一針ずつ縫ってお守りとして渡していた千人針を表現したプリントを使用し、服に平和の願いを込めた。フィナーレでは広島市に世界中から寄贈された千羽鶴を10000羽使用した世界一平和なドレスが登場し、私たちの目を奪う。

モデルにはイラストレーターから芸人まで様々な人を起用。俳優のルー大柴やアーティスト吉田山田の山田義孝、車椅子サーファーや脊髄性筋萎縮症の女性なども登場した。普通のファッションショーであれば1人のモデルが何体かのルックを着用することが多いが、tenboのショーでは1人1体のルックのみの着用である。この新しい仕組みは、等身大のモデル達のひとりひとりのための服を作りたかったからだと鶴田氏は語った。

今回のショーはクラウドファンディングにより支援されたお金によって開催された。これはあくまでtenboというブランドが世の中に周知されるために行っており、次回も同じ方法を取ろうという考えはないそうだ。また、ファッションショーを当たり前のように継続する意思はないとも話している。
今回、戦争に原発、平和を伝えたいと思ったときと、戦後70年とが偶然のように重なった。その時々瞬間で願うのではなくて、継続して平和を願わなくては意味がないと彼は言う。そんな彼が今後どのように平和の願いを服に落とし込んでいくかが楽しみだ。


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