NOZOMI ISHIGURO Haute Couture 2013 S/S
「裏側から見た東京」
今季のテーマ「裏側から見た東京」。日本の政治、経済の中心となる東京。日々目まぐるしく変化するこの東京に人々は憧れを抱く。その憧れは、きっと華やかで、希望や期待で 満ちているのだろう。しかし、現実には、人々は常に様々な思いと葛藤し、忍び寄る不安の影に恐れを感じている。そんな中、私たちは東京で何をしているのか、石黒氏自身がもう一度見つめ直し「本当の東京」を服に落とし込んだ。
前半の折り紙をモチーフにしたワンピースは、紙らしさを追求したためか、独特な雰囲気を感じさせる。一枚でも存在感があり、インパクトのあるものになっている。プリントにはファッション雑誌に見えるようなデザインがなされている。また、さりげなくハイブランドの名前を小さく取り入れたところには、石黒氏らしいとも言える遊びをしっかり落とし込んでいる。
後半からは、白を基調としたデザインで明るく見せている。異素材の組み合わせは、都会(東京)らしい印象を受ける。NOZOMI ISHIGURO のコレクションにおいて、このような色使いの服は特に珍しい。
ショーは終始 Uliboze によるライブで行われた。フィナーレの星空は、石黒氏が幼い頃に父親と眺めた東京の夜空をイメージしたそうだ。
東京の現状を表現した今回のコレクション。つらい世の中であるけれど、楽しいことも あるという石黒氏のメッセージが込められている。
Photographer / maki
Text / Kozo