2013 S/S 東京コレクション
alice auaa 2013 S/S
[ALICE IN WONDER LAND] IN ME
[ALICE IN WONDER LAND] IN ME
デザイナーの船越氏の原点となっている、自身が80年代に初めて憧れのロンドンを訪れた際に味わった感動と興奮、出会った人々などをアリスの登場人物になぞらえたと語った。
スクリーンにアリスとアリスを不思議の国へ誘うウサギが映し出され、会場はゴシックなムードに包まれた。アリスをかけた裁判を知らせるラッパが鳴り響き、トランプの兵から逃げるアリスがランウェイに登場した。
ぼろぼろに加工されたクリノリンだけのスカートや、女性の体のラインを強調させる様子が、alice auaaの最大の特徴である、ゴシック、フェティッシュ感はそのままに、どのルックにもデコラティブなフリルやドレープがあしらわれ、ドレッシーでエレガントに統一されたディティール。ユニークで奇抜ではあるが、単に気を衒うだけのコスチュームではないことが伝わってきた。ファンタジックではあるがリアルが強調されていて不思議な魅力に惹きつけられた。
今回のコレクションの見所はなんと言っても色と柄使いである。
alice auaaとしては非常に珍しく、細かなストライプを用いたアリスのワンピースに始まり、双子のディーとダムのコートはベージュ色。ロンドンらしい全身赤いタータンチェックに包まれたルックが登場し、alice auaaファンをあっといわせた。
今までと比べ、alice auaaのメインカラーである黒と白のアイテムは少なく感じたが、船越氏は「大好きなゴシックも黒であるし、モードでは洗礼も受けたしスペシャルなカラーだと思っている」と黒にこだわる姿勢も見せた。
「やるからには世界中の人に見てもらいたい気持ちがあって参加している。ストレートにファッションとして楽しんでもらいたい。ゴシックなどディープなカルチャーの入り口として楽しんでもらえるものを作りたい。」と語った船越氏は、自身も物乞いのウサギの着ぐるみに身を包み、フィナーレで挨拶し、会場を驚かせた。
ALICE IN WONDER LANDはalice auaaのブランドネームにも落とし込まれている物語だ。多くのalice auaaファンは永遠の少女・アリスに憧れ、思いを馳せる。船越氏自身の原点にもなったロンドンへの訪問や、洋服を作り始めた頃のピュアな感覚と遊び心を忘れずに創造したという。原点回帰しながらも新しいモードの創造として新たな一歩を踏み出したalice auaaに今後も目が離せない。
Photographer / Kanami
Text / Ayumi