2013 S/S 東京コレクション
tiit 2013 S/S
「Intellectual Flowers」
かつてのキャリアウーマンは社会進出がステータスであり、男性社会のなかで負けないよう常にまっすぐ前を見て力強く進んできた。
tiitが表現するキャリアウーマンは、もっと柔軟であらゆる面をもった現代のキャリアウーマンだ。あらゆる場面で自由に活躍する女性たちは、虚勢を張らず、時にはSNSなどで弱い面を素直にみせる。等身大の女性の姿に多くの人が共感し、憧れる。
tiitの今回のテーマは「intellectual flowers」直訳すると「知的な花たち」という意味だ。
服の側面のおおぶりなフリルや、立体的なニットのワンピース、アシンメトリーのスカートは花を想起させるデザインとなっていた。
儚い印象をうける真っ白いワンピースから始まり、スモーキーなパステル、そして後半はモノトーンでマニッシュな服。
様々な素材やパーツを組み合わせることで、まさに表情豊かな女性の内面が表現されていた。
「知的な花たち」というテーマには、岩田さんが言及していた「現代の女性たち」という意味が含まれているのではないだろうか。
tiitが目指す「ギリギリのリアリティー」
ヒトが主役である、とデザイナーの岩田さんは言う。服ではなく、それを着る人が主役だからこそ現実感にこだわっている。
日常を少しツイストすることでtiit独特のちょっと胸踊るファンタジックな服が生まれる。
例えばそれはブレスレットにも現れている。
正統派のシャツのスタイルに、細いサテンで出来たリボンのブレスレットを合わせてフェミニンさを覗かせる。
さらに、次の服では同じブレスレットを服の上、肘につけている。きゅっとしまった二段のボリュームのあるスリーブになっていて、そういうバランスの崩れた現実感にきゅんとさせられる。
tiitの初のランウェイショー。
tiitの描く「日常の夢」の続きをもっともっと見てみたいと思わせるショーだった。
Photographer / Morimura
Text / Maui
