Fashion, Interview

株式会社そごう・西武 リミテッド エディション部バイヤー 小俣桃子氏 インタビュー

DSC_9763

 

“株式会社そごう・西武 リミテッド エディション部 バイヤー小俣桃子氏 インタビュー”

「商品提案や開発を行うバイヤー、その提案をアイテムに落とし込むデザイナー。販売をする売り場のメンバー。そして商品を求め、お店に買いに行くお客様。この四つの視点が重なり合って初めてLEの商品が出来上がり、消費者のもとへ届くのである」

 
「バイヤーとは?」

 
“バイヤー”と聞けば、おそらく多くの人は海外に買い付けに行き、大量のアイテムから自身のお店やブランドで取り扱うモノをセレクトする人を想像するだろう。自らのセンスや感覚を活かし、お店やブランドに合ったモノを選び、的確な量や値段を交渉しながら買い付けをするのがバイヤーの仕事として一般的に思われるのではないか。一方で、バイヤーといっても多様な活動と役割が含まれている。
 
今回お話を伺ったのは、株式会社そごう・西武で活動をされている小俣桃子バイヤー。小俣氏は現在そごう・西武の自社ブランドである「リミテッド エディションby アツロウタヤマ」の専任バイヤーとして活躍している。「リミテッド エディションbyアツロウタヤマ(以下LE)」は、そごう・西武が展開しているプライベートブランド(以下PB)であるため、デザイナーである田山淳朗氏が百貨店と組み、デザイナーと百貨店の両者が共同作業で独自のブランドを作り上げている。小俣氏はLEでの活動を通して、デザイナーと百貨店と消費者を結びつなげる役割を担っている。
 

■PBにおけるブランドイメージやコンセプトなどについてどのようにお考えでしょうか?
 
「ブランドイメージというと、やはり百貨店に一番求められるものというのは上質さであると思うんですけど、それを持ちながらもクリエイティビティっていうのもデザイナーと組むにあたって大きな強みでもあると思います。百貨店らしい上質さを保ちながら、田山淳朗氏のデザイン価値を含めてお客様に提供できればなと考えてやっております。」
 

昨今百貨店はナショナルブランドで埋め尽くされている。他の百貨店との差別化を図るため、そごう・西武の場合はデザイナーコラボでPBに取り組むという初の試みがとられた。
 

LEの特徴は、自社ブランドでありながらデザイナーとコラボしているところである。小俣氏も「デザイナーさんの要素というのは絶対なくしてはいけない」と指摘する。小俣氏は商品を開発する際、デザイナー側とは密接なやり取りを交わし、商品における様々な要素を話し合いながら売れるものをつくっていく。LEの場合、田山淳朗氏自身のブランドである「アツロウタヤマ」、そしてカジュアルラインの「A/T」が展開されていて、そのエッセンスを取り入れながら、そごう・西武のオリジナリティーを加えたものがLEとなっている。
 
■デザイナーさんと顧客の間のポジションに立つという点で、お客様の声をどのように商品に反映させていますか?
 

 「週に一回必ず店舗から週報っていうものが送られてきて、どういうお客様が買ってくれたのか、またお客様が買っていただいたということはご満足されているということであるけれども、どういったところが売り逃しの原因だったかっていうのを毎週集めているんですね。それをもとにサイズ感、素材、シルエットなどを見直すことで、そういう声を活かします。あとは、自分がブランドに入って店舗にまわって、接客してはお客様がどこをこだわっているのか、鏡を見たときにどこを気にしてこの服を着ようとしているのかとかなどを目で見て、デザイナーとのミーティングにのぞみます」
 

また、小俣氏は店舗に出ている商品の全てを試着していると言う。商品が出来上がり、店頭に並ぶ前に必ず自分自身でそのものを身に纏い、着心地やデザインを確認する。またその後店舗で売られた際に、お客さんと話しながら意見を聞き、次なる商品の開発に反映させていく。
 

小俣氏は現在のLE部でのバイヤーとして活動を始める前に、ラルフローレンでの販売を経験した。ラルフローレンで働いていたときの経験や、そこで培った意識はものづくりと販売の両面を通じて今の仕事に適応されている。ものづくりの面では、現在デザイナーと共に服をつくっていく上で、名の知れているブランドが持つ信頼性や知名度への意識が重要である。また、販売の点でも「お客様視点」というのが接客を通して分かるものであり、それはラグジュアリーブランドでもPBでも、ものづくりへとつながる共通要素である。
 

商品提案や開発を行うバイヤー、その提案をアイテムに落とし込むデザイナー。販売をする売り場のメンバー。そして商品を求め、お店に買いに行くお客様。この四つの視点が重なり合って初めてLEの商品が出来上がり、消費者のもとへ届くのである。ここで小俣氏は改めてLEにおけるデザイナーの存在を取り上げる。
 

「やはりデザイナーさんと組んで、その名前を使ってプライベートブランドをつくるっていうのは初めての試みであったため、珍しいですし、そこも忘れちゃいけない。普通のPBだと、私と売り場のメンバーとお客様の声の三つだったところが、プラスαで、そこがプラスされるっていうところは大きな取り組みですし、大きな力になってきていると思うんですね。その四つの視点は正しいと思うし、それを継続することが重要だと思っています。」
 

Words by Ayaka Sano

Photo by Naru Kitamura




□小俣桃子氏
株式会社そごう・西武 商品部 商品企画・開発部 LE部バイヤー。2002年に入社。ラルフローレンやヤングキャリアファッションのフロアで販売経験を積み、2009年の自社ブランド「リミテッド エディション by アツロウタヤマ」の立ち上げに取り組む。その後現在に至るまで、同ブランドの専任バイヤーとして活動している。
 

Limited Edition リミテッドエディション 公式サイト: http://www2.seibu.jp/le/


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.