Fashion, Interview

RESTIR MIDTOWN 清水博之氏 インタビュー

restir 02

 

“RESTIR ゼネラルマネージャー・メンズMD 清水博之氏 インタビュー”

「常にお客様に感動と驚きを提案し時代の最先端を行き続けたい」

六本木、東京ミッドタウンに店を構えるリステアは只々洋服を販売しているショップではない。そこには来店するお客一人一人の贅沢なプライベート空間、五感に訴えるまたとないショッピングエクスペリエンスが広がっている。今回はリステアのメンズバイヤーを務められる清水博之氏にお話を伺った。
 
世界に通用する究極のセレクトショップとは?

 
「リステアは当初良いブランドの品揃えをするためには、やはり世界的に認められている高い地位にあるブランドから集めていく必要性があった」
 
セレクトはヨーロッパのブランドが約六割を構成的に占めている。ロンドン、パリ、ミラノ、ニューヨークとファッションに興味を持ったものなら、誰もが憧れるファッションのメッカから発信される最先端のファッションだ。歴史に裏付けされたクリエーションと技術、確かに感じられる国の文化と個性がそこにはあると清水氏は語る。国をあげてファッションという一大分野を支援するヨーロッパ国々の姿勢を私たち消費者も知らずと感じ、その洋服から伝わる“真正さ”に魅了されているのかもしれない。そもそも洋服の歴史という観点からしても、雲泥の差があるのは否めない事実でもある。

そうなると、ドメスティックブランドはどうだろうか?日本はファッション感度が世界的に見ても高い国とされている。それは現在の個性溢れる原宿などに見られるファッションが注目される以前からの話であり、80年代中盤に起こったDCブランドブームなど日本には数多くのファッションがすでに存在していた。清水氏曰く、今の日本のデザイナーたちはその時代のあらゆる服を着てこられた方々で、そういった経験が生かされた服作りは最先端尚且つリアルクローズであり、ドメスティック特有の魅力を感じるという。基本をきちんと踏まえ、様々なスタイルの要素を落とし込んだ“応用”、“遊び”からくる面白さがある。ドメスティック、インポートそれぞれの魅力を引き出し、同じ空間に共存させ消費者に届けるバイヤーならではの言葉だ。
 
「デザイナーが本当に見せたいピースを仕入れ、お店で見せていくこと。それをしなくてはいけないのもセレクトショップの一つの存在意義だと思っています」
 
restir 1
会社の経営面を考慮したセレクトは当然ながらあるという。しかし、それと同じくらい重みのあることとして、デザイナーの見せたいものをリステアのフィルターを通し紹介していくことがセレクトショップとして重要なのだ。バイヤーはブランドと消費者の仲立ちとなり、デザイナーの意向を私達にいわばトランスレートしてくれる存在だ。バイヤーのセレクトには優劣はつけられない。その善し悪しは個々が決める事であろう。それでもデザイナーがコレクションで伝えたかったピースやデザイナーの思いを私たち一般の人に伝えようとするリステアの真摯な姿勢は、消費者と日々変化し続けるファッション業界をつなぐ確かな架け橋となっている。また、リステアはあまり人に合わせた商品の品揃え、打ち出し、PRを行っていないという。心から提供している物に共感し、ファンになっていただけるお客様に支持して頂ければというメッセージが込められている。既存のマーケットに媚びず、常に新しい価値観をマーケットに提案する。バイヤーの意義を認識しながら、時代を新たな方向へ牽引し続けるといった意識は他のセレクトショップとの大きな差別化につながっている。
 
「常に考えているのは毎シーズンお客様の期待を良い意味で裏切らなければいけないということです」
 
セレクトショップにはそれぞれのカラーがあり、そのテイストに合う洋服をセレクトするのが筋であろう。しかしリステアではショップの個性を保ちながらも、リステアというステレオタイプ、固定観念を作らせない。常に新鮮な気持ちでいられ、絶えず更新され続けていくショップなのだ。
ブランドをセレクトするとき、そのブランドを世に広めてもっと有名になってほしいという気持ち、売り上げを考慮した面など様々な思惑がある中、やはり念頭に必ずあるのが新たな刺激を客に提供することを第一に思う気持ちだという。ブランドの直営店などはショップとしての変化の幅が、どうしても一つのブランドに限られるため少なくなってしまう。内容を自由に変えていくこと、変えて行き続けられることこそがセレクトショップの生かすべき強みなのだと清水氏は話してくれた。


最後にバイヤーという職業の枠を越え、清水氏の考えるファッションについてお話を伺った。
 
「ファッションは人間の根本的な思いとして格好よくありたいとか、可愛くありたいとか、それを表現する有効的で重要なツールであると思います。私はセレクトを行う時、男性に支持される、男性にもてる男性像を思い描いています。当然ながら男性は女性から好かれたい、もてたいという気持ちがありますが、そのことを追求していくことは結果女性に合わせることになってしまう。そうではなく同性から「あの人かっこいいね」と言ってもらえる男でありたい。でもそれは服が全てではなく、その人の生き方などの側面から醸し出されるもので、その中の一つの方法がファッションであり、私はその「ファッション」部分で提案し続ける立場でありたいと思っています」
 

Words by A.H.

Photo by Kenshiro Shimazaki




□清水博之氏
2004年   RESTIR銀座店入社。
2007年   東京ミッドタウンのオープンと同時にRESTIRミッドタウン店に異動。その後、ゼネラルマネージャーとメンズMDを兼務。現在に至る。
 

RESTIR リステア 公式サイト: http://www.restir.com


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.