[RIVORA] Director / Designer鈴木氏にインタビュー
RIVORA / 鈴木氏
Director / Designer鈴木 泰宏 Yasuhiro SUZUKI
1980 年、東京都生まれ。
国内でファッションを学んだ後、渡英。帰国後、MOSSLIGHT、dictionary を経て、2009 年に
RIVORA を立ち上げる。2010SS よりメンズ・ラインを、2011SS よりレディース・ラインをスタ
ート。大人が、人生を楽しむための服。シャープでエレガントなラインを、ディテールの設計
と肌触りの良い上質な素材を使うことで、リラックスして着られるよう、デザインしている。
■ブランドコンセプトを教えて下さい。
RIVORAとは川を意味する3つの単語、「River」「Rio」「Kawa」からなる造語です。
物が出来上がるまでに関わる、生地屋さんや工場さん、お店さんやお客様という、川上から川下までのすべての関係があって、初めてブランドが成り立っているという考えからつけました。日本のものづくりの力を生かしながら大人のためのデザインを提案しています。
■こんな人に着て欲しいという思いはありますか?
お店さんや個人のお客様に共通しているのは、自分の道を決めて歩んでいるスタイルのある方々という点です。私たちもそういう方に喜んでもらえるように服作りをしています。その人の人生に寄り添っていくような服で、その人の良さ、個性を引き出せればいいなと思っています。場合によって、それは極めてシンプルな物でもかまわないと思うんです。先日、あるお客様が、ご自身の大切なイベントでRIVORAを選んで着て下さっていました。そういう出来事があるので、本当に嬉しいです。
■こだわっている、よく使う生地や色などはありますか?
基本的には肌触りや見た目の繊細さ、艶感を重視しています。特に全てシルク、など決めているものはありません。
■ファスト・ファッションの流行など、良い物へのこだわりが薄れていく中で、良い物
を作ることに対しての思いを教えて下さい。
自分たちは、ファスト・ファッションとは役割自体が異なると思っています。
日本人の着るファッションで、100%日本製のものは1割にも満たない。ほとんどが海外生産の輸入品です。日本(製)のブランドを着て欲しいという思いがあります。
例えば高級輸入品というジャンルもあります。でもリアルなプライスではないので、手が出にくい。仕方なくグレードを落としている人もいると思うんです。リアリティのある価格で、より良い物を着たいという方はたくさんいると思います。
でも、一方で、ドメスティック・ブランドには、何か奇抜な事が求められているようにも感じます。結果的に、それが着られる服に仕上がるのかどうかという点は置き去りにされている気もします。
ロンドンに留学していた時にも、日本人は変わった服を作るというイメージが持たれているのを感じました。それはそれで面白いとして、自分たちは日常生活で大人に選ばれる素敵な服を増やしていきたいと思っています。
■シンプルな日常着としてのファッションが多いですよね。あまりクリエイティブ性の
あるものには興味がないんでしょうか?
クリエイティブは「創造」ですから、1回きりのアイデアではありません。
長いスパンの流れを感じ、考え、それを表現するという意味では、私たちはクリエイティブでなければと思っています。今までの考えが崩れるようなクライシスがあれば、流れが変わり、新しい物が求められます。日本の現状で言えば、大地震がありこれから復興に向けてがんばらなければなりません。でも、国内需要だけでは賄えない。これからは、海外との付き合いが益々重要です。エネルギーの問題もあります。サラリーマンはスーツを脱ぐかもしれません。そうなった時、彼らは私服で何を着ればいいのでしょうか? グローバル化が求められつつ、さらに個性が求められることになると思います。そのベクトルを意識しながらクリエイションしています。
表面的に個性的な服ではないという事では、自分たちは、今はスタンダードなものを作っている段階です。質の良さ、服にこめた美意識はキープしつつ、必要に応じて特別な日に着るための服も増やしていきます。そういう服は、見た目にも個性が強いアイテムになると思いますよ。
■今期のテーマについて教えて下さい。
シーズン・テーマはありません。
RIVORAのファンが徐々に増えていって、”次はどんな服を作るんだろう”と楽しみにしてくれたときに、初めてテーマと言っていいと思います。
■今後テーマを作るとしたら、やってみたいテーマはありますか?
たくさんあります。「光と影」というのは潜在的にずっと意識しています。
ファッションでは、例えば60年代へのフューチャーなど、やろうと思えばいくらでもフューチャーできてしまいますが、常に過去にしか参照項がないと、新しい歴史がなくなってしまう。過去のあるイメージに寄りかかれば世界観は借り物でもすぐに作れてしまう。
「これっぽい」というものには必要がない限り避けるようにしています。
21世紀に生きている人が前に進めるように、思いを込めています。
■最後に、今後の活動の展望を教えて下さい。
アイテム展開を拡げたいです。靴や小物も作っていきたいです。
そして、香港やシンガポール、台湾といったアジアのお店とも付き合っていきたいと思っています。
近い予定では、ウェディング・ドレスを作って欲しいとお客様から言われているので、今、デザインに入ったところです。
Interviewer Sakura Suda
11AW photos credit
Photos Takashi ARAI
Hair & Make Takamichi HATAYAMA
Model Brendan
Brooke
Stylist Kumiko KOBAYASHI
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