3月23日、ヒカリエホールAにてウノピゥウノウグァーレトレが東京コレクションに初参加した。同ブランドは「wjk(ダブルジェイケイ)」の立ち上げメンバーの一人でもあり、「AKM(エイケイエム)」の現デザイナーでもある小沢智弘によって三年の構想期間を経て2012年A/Wシーズンに立ち上げられた。両ブランド共に’本物’を求めるブランドとして広く知られている。ウノピゥウウノウグァーレトレもブランドコンセプトに『至高』『究極』『一着の服』というワードを用いて、一着の服にかける情熱を表している。
今回東京コレクション初参加ということもあってか、30分前から長蛇の列ができていた。会場は来場者1000人超えの満員御礼、50分押しでショーはスタートした。トップバッターはモデルの村上淳。
いかにも’イカしてる’ライダースや、くるぶしを見せた足元、胸元がざっくり開いたガウンなどダンディズムを丸出しにしたスタイリングが次々とランウェイを彩っていく。私の近くにいた男性たちは構えていたカメラをおろし、まるで洋服に惚れ込んでいったようだった。男が惚れる伊達男とはこのことなのかもしれない。
中でも一番印象的だったのはモデルたちだ。本来ファッションショーであれば洋服に注目しなければならないであろうが、今回のショーはモデル抜きには語れないというほどモデルの存在が大きかった。ランウェイに登場したのは若い男性モデルから客層よりもひと回り上くらいのダンディなモデルたちだ。一般的なファッションショーのように淡々と歩いて洋服を見せるという感じではなく、客席をじっと見入りながらゆっくりと歩いていくので、なんというか見ているこちらがドキッとした。それはまさに全てを見透かされているような表情。
背中に龍の刺繍が入ったスカジャンや肩にかけたジャケットは大人の余裕を感じさせた。『着る人を選ぶ』と言ったら大げさかもしれないが、着る人の個性を引き立たせるデザインであることに違いない。こだわり抜いた物づくりに負けない消費者でいることも大事であると教えられたコレクションであった。
text/須藤志央里
photo/鈴木優人