Fashion, Collection, Tokyo 2018-19 A/W

soe 2018A/W Collection

究極のインスタレーションに見えたもの


渋谷ヒカリエにて soe の 2018A/W インスタレーションが行われた。日付は第 4 回 TOKYO FASHION AWARD 2018 を受賞したブランドが一斉にショーを行った、東コレ最終日の 3 月 24 日(土)。

TOKYO FASHION AWARD は、世界的に活躍するデザイナーを東京から輩出することを 目的とし、インターナショナルな活躍が期待されるブランドを表彰し、ビジネス面における 支援を行っている。
今回の第 4 回 TOKYO FASHION AWARD 2018 では soe の他、DIGAWEL、KUON、 BODYSONG.、CHILDREN OF THE DISCORDANCE、F/CE.が選出された。


soe の今回のコレクションは、ランウェイ形式ではなくインスタレーション形式で行われた。 会場前には多くのゲストが列をなし、「soe の洋服を自分の目で見たい!」といったような 熱気と期待に満ち溢れていた。そこには私達と歳が近いと思われる学生らしき人たちも少 なくなかった。

ホールに入るやいなや、少し異様とも思える空間が目の前に現れた。客席や、必要以上の照 明、音楽などは排除され、ほとんど何も無い空間に約 30 人のモデルが皆異なる方向を向いて立っていたのだ。

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そしてその周りを観客達が一方向に歩いて回る。モデルに近づいて洋服のディテールを凝 視する者、知人と意見を交わし合う者、またスマートフォンでの撮影に勤しんでいる者、など各々の楽しみ方でインスタレーションを見ていた印象がある。この、いたってシンプルな 空間構成がゲストに自由度の高いファッションの楽しみ方を提供していたといえる。

コレクションと聞いて私達が思い浮かべるのは客席が段々に並べられた暗い会場に大音量 の音楽と煌びやかな照明、素敵なヘアメイクが施されたモデル達。それらを極限まで削減す ることで、洋服一着一着、モデル一人一人が持つ個性が光って見えるように感じた。

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ファッション以外に関してもそうなのかもしれない。「個性を出せ」とか「個性のある人材 を・・・」とか、今「個性」は色々なところで求められ、それを尊重する動きが高まっている。人と違うことをしたり、変わった世界観を纏ったりするのが個性なのではない。個性とは、自分以外の何もないところで、何も纏っていない状態で自然と湧き出てくるものなので はないかと、私は思う。

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今年 17 年目の年を迎え、6 年ぶりに東京コレクションに参加した soe のインスタレーショ ン。そこには、照明や音楽などを用いて表現するという方法をあえて選ばず「無駄を削ぎ落 し」、洋服一本で勝負するといった soe の“潔さ”と、変わらないけれど進化し続ける soe の“革命性”のようなものが見えた。


Text, Photo/ Kaede Sato