服で呼び覚まされる、あの頃の記憶
10月16日、ヒカリエBホールにてPERMINUTE 18S/Sコレクションが発表された。
今回のコレクションは、デザイナー半澤氏の故郷である福島を懐古しながら着想を得たという。
田んぼや畑、また、こたつカバーなどどこか故郷への懐かしさを感じさせるようなものを生地や質感に落とし込んでいる。
よく見るとスカートやアウターに使用されている生地の柄は、羊や牛がいる牧場、ヤシの木とハンモックだったりと、モードなコレクションが発表される東コレには見慣れない柄である。真新しくて面白い。半澤氏が想像する様々な故郷の風景なのかもしれない。
このように、故郷を彷彿とさせられる服作りに拘った今回のコレクションであったが、実は私達も時々これと似たような経験をしているのである。
思い返してみてほしい。タンスの奥に眠っていた服を久しぶりに引っ張り出してみた時、ふいに何か懐かしさを感じたことはないだろうか。過去の恋する自分が勝負服として着ていた服がでてきて、あ〜あの頃の自分はまだまだ子供だったな〜とか。(笑) またあるいは、その服は旅先でノリで買ってしまって結局着たことのなかった服だったり、なけなしのお金をはたいて買った憧れの服だったのに、どうしても着るのがもったいなくなってしまってそのまま忘れさられていた服だったり。人が生活する上で欠かせない衣服として、成長を共にしてきた服には人の数以上の思い出が詰まっている。
今のは自分の好みに合わない服と化してしまっていても、たまにはご無沙汰な服に袖を通してノスタルジーに浸ってみるのも悪くないかもしれない。きっとPERMINUTEのコレクションのように、故郷を思い出す時のような暖かい気持ちになれるはずだ。
Text / 田近 咲菜
Photo / Sho Makishima (@sho_makishima)
Photo edit / 田近 咲菜 (@is__sleeping)