自由へのあり方をプログレに乗せて
KEISUKEYOSHIDA 2018S/S
2017年10月17日、KEISUKEYOSHIDA 2018S/S Collectionがランウェイ形式で発表された。
今回のコレクションのテーマは現代の空気の中での自由、人としてのあり方。前回のコレクションではピエール・カルダンのコスモコールルックのような60’sファッションからインスパイアされファッションの未来をレトロフューチャー感を通して昇華させ発表したが、その後の制作で無力感を感じていたという。コレクション初期のような等身大をテーマにしようとしたがそこにある”堅さ”に直面した際、70’sの資料でヒッピーファッションに出会ったと吉田氏は語る。その自由な姿勢は先に述べた無力感に似たものを感じたという。
そして18S/Sではそのヒッピーカルチャーの自由な着こなしや諦観を穴の開け方やモードの崩しにより、現代の堅さの中での自由とリンクさせ発表した。
中でも、黄色やエメラルドグリーンなどの色使いや花柄が印象的だった。社会から離れ自由に生きたヒッピーのような明るい色使いの中にも青々としたジャージをコレクションに混ぜることでナードなブランド”らしさ”を垣間見ることも出来た。
また前回の構築的な穴とは対照的に今回はベースを敢えて崩すような穴を開けたり、結ぶことによりシルエットを自由に変化させた穴を作っているのが随所に見られ、テーマでもある現代の中での自由を感じさせるクリエイションであった。
現代の便利な社会では、様々な情報が入り混じり何が本物なのか本質や根っこを探すのが難しくなっている。上澄みだけを汲み取ることを批判する人々も多いが現代の生き方として自分の好きな物を誰にも邪魔されずに吸収していく若者の姿がフィナーレで流れたFocusの悪魔の呪文を通して60’s後期に現れた前衛的なプログレッシブロックの自由な芸術性のように表参道ヒルズに響いたように思えた。
Text: 細部 詩音 (@shionhosobe)
Photo: Sho Makishima (@sho_makishima)
Photo edit / 田近 咲菜 (@is__sleeping)