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2017-18 Autumn Winter Collection
3月20日、tiitの2017A/W collectionが渋谷ヒカリエホールAにて発表された。”日常に描く夢”というコンセプトから、希望や悲観などが入り混じったセンチメンタルな少女の気持ちをファッションに投影してきたtiit。今回のコレクションについて、 「J・J・エイブラムス監督の映画「SUPER8/スーパーエイト」から影響を受けたとデザイナーの岩田氏は語る。インターネットが整っていない時代、乏しい事前知識と自分自身の考えだけを頼りに列車事故の謎を解こうと奮闘する二人の少年の様子から、その懐かしいときに対して思いを馳せた。「情報化社会で以前に比べて考えることが少なくなっている中、自分の考えることや想像力を働かせるということが魅力的」と以前に語っていた岩田氏だが、彼とリンクするような歳月があったのかもしれない。
1979年のアメリカが舞台のSUPER8/スーパーエイト。全体的にレトロな印象を見せたかったと語るように、ジャガード調の造り、ギャバジャンに良く用いられている柄の取り入れ方等古着的な要素の詰まった作品であった。シルクなど様々な生地から作ったツイード、織物ルックな柄プリントなど、一見わかりずらい変則的なテキスタイルからデザインに対しての拘りが垣間見えた。また、ルック全体で星柄のアイテム、リボンの装飾が多かったのも特徴的である。この星も映画で見た風景なのだろうか。
実は、このリボンはランウェイを歩くモデルだけではなく、バックステージの裏方も身に着けており、ショーの招待状にも付属されていた。「展示会では服を売る場所だが、ファッションショーはファッションを売る場所。ショーを見た後に写真しか残ってないのはちょっと寂しいかもと。ネットの普及等で忘れかけている本当の繋がりみたいなものを伝えたかったのもあるが、瞬発的な繋がりでもその繋がりやショーを観たことで生まれたシナジー効果みたいなものもみたいなものも持ち帰って頂けたらと思って。」とリボンを配った経緯をインタビューで岩田氏は語ってくれた。彼のユニークな発想の根源には日本人らしい愛心も垣間見えた。
text/Yu Ezaki ・Mami Hamasaki
photo/angie