立教服飾デザイン研究会 / 「糸(いとへん)」
私たちは日々のくらしの中で、絶えず多くの祈りを捧げているといえる。
不鮮明だが確かに自分の軸として存在する祈りの対象を取り上げ、ファッションというツールにより表現する。
今回6月8日に立教大学服飾デザイン研究会によるファンションショーが、立教大学ウィリアムズホールにて開催された。コンセプトは「祈り」。今回一人一人のデザイナーは彼らの根源として持っているだろう「祈り」をデザインとして表現している。
会場へ足をのばすと、そこには真っ白空間があった。壁一面は白い布で覆われており、さらにスモックの演出がされていた。ファッションショーが始まると穏やかな音楽とともに最初のモデルが登場した。一体一体のモデル達にはそれぞれの「祈り」が込められており表現されていた。どれもが独特であり、構成、色合い、生地がこだわられていた。「祈り」とは自分たちが常に感じられるものであり、だが決して目で見ることはできない。それゆえ作っていく過程で変化していったと一人のデザイナーは語った。“目に見えないものを表現する”その手立てとしてデザインやファッションは最適であるといえる。
近頃は若者の間で「共感」が重視されている。そのため個性を主張する機会が減っている。個性とはその人自身を表現するもので、その手段としてファッションは欠かせないだろう。「共感」が重要になりつつある現在で、より自由なファッションや発想はなくしてはならないに違いない。
立教大学服飾デザイン研究会が開催しているファッションショーは個性を主張できる大切な場である。彼らは「売るための服」という考え方ではなく、「考えを表現するための服」という考え方を持っていた。彼らの“デザイン”“構成”“音楽”“映像”“内装”“演出”すべてに個性を宿していて、新しい世界を作り上げていた。彼らは学生という立場を活用してこれからも自由に発想することの大切さを伝えていくだろう。
Photo / kanami
Text / konomi