Collection, Tokyo 2011-12 S/S

TELLSIT 2012S/S




2012 S/S 東京コレクション気鋭のブランド

TELLSIT /「THE SUNLIGHT RING」


2011年10月18日、STUDIO BYBROS SHIBUYAにてTELLSIT 2012S/Sコレクションが開かれた。ブランドが創設されてから約3年半、今回が初のJFW参戦となり、デザイナー鯨井貴之(くじらいたかゆき)氏は「チームとしてブランドが機能し始めてきて、ここで大きな勝負をかけてみたいと思い、今回JFWへの参加を決めた。」と語った。鯨井氏は専門学校と大学のダブルスクールを経て、在学中に自身のブランドTELLSITを立ち上げた。2009S/Sからランウェイよりコレクションをスタートし、今回が4シーズン目となる。
 今回のコンセプトは「THE SUNLIGHT RING」、直訳すると太陽の指輪。このテーマには「自然や動物とずっと共存していたい」というメッセージが込められている。JFWに参加する多くのブランドはランウェイでのショー形式である中、TELLSITは芝生の敷き詰められたスタジオや、映像作品を流すという空間にこだわった全く新しい発表の仕方であった。このような形式にしたのは、手作業でつくられた洋服が多く、「近い距離で服を見てもらい」という想いから、映像に関しては鯨井氏の兄、鯨井智行(くじらいともゆき)氏が所属するSTEREO ELECTRICが制作し、「映像が純粋にかっこいいと想ったので多くの人にみてもらいたい」というデザイナーの想いから実現したそうだ。映像には宇宙飛行士を彼に持つ彼女の話で「人の人との自然な愛」を感じられる作品であった。
 洋服はコンセプトにある通り、自然や動物との共存というメッセージから革を使った服が目立った。真ん中にたたずむ1体のみのトルソーにはレザージャケットとスカートが着せられ、すべて手作業で仕上げられたそうだ。動物や草花が細かく彫刻され、自然や動物との共存というものが具現化されていた。ほかにもワインレッドのハンドニットと牛革、豚革を使用したライダースがあり、背中部分に半透明状態の豚革を染色し、ステンドグラスのように透けている構造になっている。そこには自然と動物に対するメッセージがのぞけるようになっている。また、Tシャツには板締め染めを用いた独特な模様のものや、カンヌキ止めが全体施されたテーラード、パンチングが施されたレザーベストなど様々な技法を凝らした服が並んでいた。作り方は違えどもこれらにはすべてに共通する部分があり、それが「THE SUNLIGHT RING」の「RING」という部分。
 今回初のJFW参加となったTELLSITだがほかのブランドには多くの新しさがあった。演出方法の点では、ランウェイは正直なところ、洋服のディテールもよくわからず、デザイナーとの距離も感じてしまうのが現実。スタジオの演出、映像作品、またデザイナーとの距離の近さの発表形式に私は感銘を受けた。洋服の点ではコンセプトに掲げたモノに込められたメッセージ、映像作品に込められたメッセージをうまく服に取り込み、表現していると感じた。また異素材を組み合わせた服、いろいろな技法を用いた服など、一つ一つとても手が込んでいてその点もとても印象に残っている。今後もTELLSITに注目していきたい。


Photo by Kenshiro
Words by Sekichi














コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.